うつ病と聞くと、「原因を突き止めて、それを取り除かないと治らない」と思われがちです。
でも、実際には原因がはっきりしないこともあるし、分かっていても簡単に変えられない場合もあります。
この記事では、私自身が体験した“原因が分かるうつ”と“原因が見えないうつ”の2つのケースを通して、「原因を排除しなくてもできる回復のヒント」についてお話しします。
うつ病は原因を取り除かないと治らないの?――私の体験から見えた回復のヒント
「うつ病は、原因をなくさないと治らないんじゃないか」
そんなふうに考えて、自分を追い込んでしまう人は多いのではないでしょうか。
私自身、うつ病を経験したことで、この問いに何度も向き合ってきました。
今回は、実際に私が体験した2つのパターンをもとに、「原因」と「回復」の関係についてお話ししてみたいと思います。
喜ばしいはずの出来事が、心の重荷になっていた
私が初めてうつ病になったのは、家を購入し、第一子が生まれたタイミングでした。
一見すると幸せな出来事が重なったように思えますが、実際には大きな環境の変化に心がついていけなかったのだと思います。
喜ばしいはずなのに、なぜか気持ちが沈んでいく。
「こんなことで落ち込むなんて、自分はダメなんじゃないか」――そう自分を責める気持ちもありました。
でも今思えば、その時の私は「うまくやらなきゃ」「失敗しちゃいけない」と常にプレッシャーを感じていて、気づかないうちに心が疲れ切っていたんです。
原因が見えない、でも毎年来る“あの感じ”
もうひとつ、自分には「はっきりとした原因がないうつ」もあります。
それは、5月と11月にやってくる、なんとなく気分が沈んでしまうあの感覚。
特に5月――いわゆる「五月病」なのかもしれません。
ゴールデンウィークがあるともちろんうれしい。でも、その連休が終わる頃になると、心がキューっと縮こまるような感覚がやってきます。
正直、会社に行くどころか布団から出るのもつらい。
そして、そんなときに何度「5月病 つらい」「5月病 仕事行きたくない」と検索したことか……。
あの検索窓に、何か救いがあるような気がしていたのかもしれません。
あとから知ったのですが、こうした「時期的なうつ」は季節性情動障害(SAD)とも呼ばれるもので、特定の季節になると気分が落ち込みやすくなる傾向があるそうです。
自分の場合は春と秋、季節の変わり目に心が不安定になりやすいのかもしれません。
原因を排除できなくても、時間が助けてくれる
うつ病を治すには、「原因を取り除くこと」が必要だと思われがちです。
でも、実際には原因が分からなかったり、分かっていても簡単には変えられないこともあります。
そんなとき、私は「今はそういう時期なんだ」と思うようにしています。
無理にがんばらない。自分を責めない。ただ淡々と日々をやり過ごす。
ある意味、それは“諦め”に近いのかもしれません。
でもこの「諦める」という姿勢は、実はすごく大切なことだと思います。
「変えなきゃ」と焦るのではなく、「変えなくてもいい」と思うことで、心の負担が少し軽くなることもあるからです。
焦らず、自分のペースでいい
うつ病と「原因」の関係は、とても複雑で、人それぞれです。
原因があっても、取り除けるとは限らない。
原因が見えないこともある。でも、それでもいいんです。
「いまはつらい。でも、いずれ波は引いていく」
そんなふうに受け止めて、焦らず、自分のペースでやり過ごすこと。
それが、うつと付き合う上で、とても大切なことなのだと思います。
まとめ
うつ病の原因は、人によってさまざまです。
はっきりとしたきっかけがある場合もあれば、環境が変わっただけで心に重さがのしかかることもある。
また、5月病や季節性うつのように、原因がはっきりしないまま気分が落ち込むことだってあります。
そんなとき、「原因をどうにかしなければ」と焦ってしまうと、かえって自分を追い込んでしまうことも。
だからこそ、「今はそういう時期なんだ」と受け入れたり、「いったん諦める」という考え方も、とても有効な手段になるのです。
うつ病と向き合うとき、一番大切なのは“自分を責めないこと”。
無理をせず、焦らず、少しずつ。
波のように訪れるつらさをやり過ごしながら、自分のペースで進んでいけば、それで十分だと思います。
コメント