うつ病と診断されたとき、家族や職場にどう伝えるべきか?実体験から考える「報告の意味」

うつ病を伝えるときのリアルな話 治療・回復と向き合う

はじめに

うつ病と診断されたとき、まず何を考えるでしょうか?
「まさか自分がうつ病なんて」――驚きや戸惑い、そして何より「これを誰に、どう伝えればいいのか」と悩む人も多いと思います。

これは、私が2012年のころにうつ病と診断されたときの実体験です。
家族や職場に伝えることに迷いながらも、「正直に伝えてよかった」と思えたこと、そして伝えたからこそ得られた配慮や安心について、お話ししたいと思います。

1. うつ病と診断されたときの気持ち

メンタルの不調を感じ、はじめて病院を受診したのは2012年ごろのことです。
たしかに心は限界に近づいていましたが、実際に「うつ病です」と医師から言われたときは、とても驚きました。

診断後は、「とにかく休んで服薬を続けて、様子を見ましょう」と言われました。
このときが、自分にとって“治療のスタート”でした。

2. 家族への伝え方とその反応

まず診断を受けたあと、妻に結果をそのまま伝えました。
妻の反応は「やっぱりね」というものでした。というのも、受診を勧めてくれたのは妻だったからです。

彼女は看護師ですが、メンタルに関する知識はそれほどなく、正直とまどっている様子もありました。
それでも、当時の私が無気力で家にいても、無理に励まそうとはせず、そっとしておいてくれたことは、本当に助かりました。

当時、子どもはまだ小さかったため、診断のことは伝えませんでした。
けれど、今ではうすうす気づいているかもしれません。

3. 職場への伝え方と反応

会社にも、偽りなく現状を伝えました。

具体的には、

  • 休日は家でほとんど動けない状態であること
  • 会社にはなんとか来られて、仕事はできていること
  • 休職は希望せず、服薬を続けながら少しずつ回復を目指したいこと

加えて、私はこんなふうに話しました。

「これまで、自分の周りでうつ病になった人はほとんど離職してしまっているんです。だから、自分もどうなるかわからない。不安はあります。でも、その覚悟はしています。会社として、自分が“もう使えない”と判断されたら、それは遠慮なく伝えてください。」

当時の私は、本音では「会社に迷惑をかけたくない」という気持ちと、「もしここで終わってしまうなら、それでもいい」という覚悟が入り混じっていました。

結果的に、会社は私の言葉を真剣に受け止めてくれ、残業を減らしてくれたり、仕事のボリュームを調整してくれました。
自分はこれまで通りに仕事をするつもりでしたが、会社の方から気を使ってくれたことにとても救われました。

伝えるかどうか迷った気持ちと、舵を切った理由

診断直後、自分なりにはまだ仕事ができていると感じていたので、うつ病であることを会社に伝えるかどうか、実はかなり迷いました。
特別扱いされることにも抵抗がありましたし、正直「うつ病」という言葉に対する偏見も、今でもあると感じていたからです。

でもある時、「このまま無理を続けて、もし大きなミスをしてしまったらどうする?」と考えました。
だからこそ、体調がよくなるまでは仕事を少しセーブするという方向に舵を切りました。
今振り返っても、これは自分を守るために必要な判断だったと思っています。

4. 伝えてよかったと思えたこと

家族に伝えて得られた安心

「うつ病である」と伝えたことで、家族サービスを無理に頑張らなくてもよくなったのは大きかったです。
それまでは「休日は子どもをどこかに連れていかなきゃ」と自分を追い込んでいたけど、伝えてからは、妻が理解してくれ、無理をしないですむようになりました。

会社に伝えて得られた配慮

職場でも、残業を減らしてくれたり、仕事量を調整してくれたりしました。
自分としてはこれまで通り仕事を続けるつもりでしたが、会社の方から気を使ってくれたことにとても助けられました。

5. 伝えることで見えてくる“周囲から見た自分”

病院に行って、周囲に現状を伝えたときが、本当の意味での治療のスタートだったと今は思います。

もちろん、「何も言わずに、薬を飲みながら今まで通り頑張る」という方法もあるかもしれません。
でも、実際は――

  • 言葉に詰まったり
  • 記憶が抜けていたり
  • 体が思うように動かなかったり

…そういう「いつもの自分とは違う姿」が、周囲には見えていることが多いです。
自分では気づけていなくても、他人から見れば「明らかに様子が変だ」と思われていたこともありました。

6. 伝えることは“受け入れられるため”ではなく、“報告”という選択

私は、「受け入れてほしいから伝える」のではなく、「自分は病気になった」という事実を“報告”として伝えました。
たとえ、その後にどんな目で見られようとも、それは覚悟のうえでした。

実際、職場に報告したとき、こんなことを言ってくる人もいました。

「うつ病っていうのは昔はなかったんだよ。そんな病気、気にするな」

そうした心ない言葉を言ってくる人が一部いるのも事実です。
だからこそ、「誰にどう伝えるか」は慎重に考えつつ、“自分のために伝える”という軸を大切にしてほしいと思います。

おわりに

うつ病と診断されたとき、誰にどう伝えるかはとても悩ましい問題です。
でも、「伝えること」は、孤独の中で苦しむ自分にとって、回復のための第一歩になることもあると、私は実感しています。

この記事が、同じように悩んでいる誰かの背中を、そっと押すきっかけになれば嬉しい

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